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vol.1 藤沢エフエム放送株式会社 vol.2 公益社団法人 藤沢市医師会
地域住民の健康を支える想い
公益社団法人 藤沢市医師会 会長 石原宏尚さん
昭和22年に設立され77年の歴史をもつ藤沢市医師会。令和6年8月末現在、会員数659名、会員医療機関341施設を有する公益社団法人だ。なかなか一般市民には「医師会って何をやっているの?」と分かりづらい医師会の活動。ところがお話を伺うと、縁の下の力持ち、ボランティア精神あふれる社会貢献活動の数々…。地域住民の健康のために日夜、奔走する藤沢市医師会長の石原宏尚氏に、おもな活動内容、湘南地域の方々へのメッセージ等を伺った。
●地域の医療に貢献する使命感
藤沢市医師会は、約44万人の藤沢市民が安心で安全な生活が送れるように、藤沢市と協働して医療、介護及び教育の分野で医師会事業を継続しています。
まずおもな事業としては、休日夜間急病診療所の運営があります。これは休日や夜間など、医療機関が通常診療を行っていない時間帯において応急的な対応を行う1次救急の医療機関で、藤沢市医師会館と藤沢市保健医療センター内に開設しています。担当する医師は当医師会の会員を中心に当番制で務めています。日本全国の医師会は大体、開業医の先生の加入が多いのですが、この当番医というのは自分のクリニックとは別に時間を割いての任務になります。また、外科/整形外科・産科・眼科については当会員のクリニックが輪番で休日診療を行う在宅当番医制を実施しています。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行するまでの「コロナ禍」においては、藤沢市からの委託事業という形でコロナワクチン集団接種、PCRセンターの設置と当医師会が先頭に立って取り組みました。ワクチン接種に関しては、感染防御の具体的措置法や、アナフィラキシーショックが万一起きたときの対応マニュアルなどを当医師会で作成し、問診・経過観察を行う医師や接種する看護師、受付のスタッフに至るまで手配を行いました。
PCRセンターは藤沢市民会館の裏の駐車場に大型テントを立てて、ドライブスルー形式の検査場を設置しました。県内で初めてだったこともあり、NHKをはじめとした各メディアより大きな反響をいただき、各所から取材が来ました。藤沢市はコロナ対策に関しては、ちょっと胸を張っていいのかなと自負しています。
藤沢市民会館裏に設置されたドライブスルー形式のPCRセンターと最前線のドクターたち
●湘南地域の看護師不足を解消するために
藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町は湘南東部医療圏と呼ばれていますが、この地域では慢性的な看護師不足が問題になっています。この問題を解決するべく、平成25年に湘南看護専門学校を藤沢市医師会立として開校しました。ただ、それだけでは解決策としては十分ではなく、育てたナースがこの地域に根ざす仕組みをいろいろと考えています。看護師という職業は人間の命と健康に携わる素晴らしい職業ですが、厳しい現実に直面し、せっかくナースになっても数年で辞めてしまうケースも少なからずあります。
これらの問題を、湘南ナース養成プログラムという全国的にも珍しい卒後3年にわたる新人ナース研修を企画し、湘南ナース総合支援センターが運営に当たっています。厳しい現実にさらされた新人ナースが仲間たちと手を取り合って壁を乗り越え、3年間の研修プログラムを終了すると、「湘南ナース」の称号とバッチが授与されるというものです。そのほか、リーダー研修、10月に開催される復職支援研修などを企画しています。今回のコロナ禍や震災などの災害時を考えたときに、地域住民の安心安全を守るためには、地域に根ざした地域看護師という概念がとても重要だと感じています。
これをお読みの方々が地域の医療施設で、このバッチを着けたナースを見たら、ぜひ「あなたは『湘南ナース』ね」と話しかけてください。きっと笑顔が返ってくるはずです。
●災害時の医療救護体制について
また、藤沢市医師会では独自の災害時医療救護マニュアルを作成しています。当医師会会員に向けて、災害時はこういう行動をとろうと具体的な指針を示した行動マニュアルとして位置付けており、非常時においても組織的な活動が継続できるよう工夫しております。
まず、災害発生後4時間、医師会会員は自院に留まり周辺の怪我人等の治療に専念していただき、概ね4時間経過を目安に応急救護所(市内2か所の休日夜間診療所)の応援に向かいます。その他市内で12か所指定されている地域救護病院へも状況に応じ応援に向かいます。病院はいろいろな資材がありますので、そこに人的資源を集中させて医療救護活動を充実させるという狙いによるものです。
この「4時間後に地域救護病院にドクターが集まっている」というのは、DMATやJMATといった公的な医療支援が来るよりもかなり早い段階で構築が可能な、我々独自の災害時医療救護体制だと思います。ぜひ、地域にお住いの皆さまに藤沢地域の医者はこのような動きをすること、万一の災害時で医療を受けたいときはどこへ行けばいいのかということを事前に知っておいていただき、少しでも早く適切な治療が受けられるよう備えていただければと思います。
●湘南地域の方々へのメッセージ
私は藤沢の長後で生まれて育ち、現在は湘南台の駅の近くで石原医院(内科・糖尿病専門外来)を開業しています。湘南地域の皆さまへは、地域の医療機関を有効に使ってほしいとの想いがあります。それは、ぜひ「かかりつけ医」を持っていただきたいということになります。当医師会会員のドクターたちは、地域内で横の連携を取っていますので、健康に関することであれば何でも「かかりつけ医」に相談すると適切な医療機関や施設を紹介していただける形になります。
それに、当医師会では内科や小児科など診療科目ごとに「分科会」が存在しており、それぞれの専門分野に関する最新情報などに関する講演会などが開催され、研鑽を積むことができる環境が整えられています。私も開業してからの方が勉強したことがたくさんありますね。
当医師会の事業はまだあるのですが、最後に一つだけ、年に一度「藤沢の医療を考える集い」という参加無料の市民向け講演会を催しています。19回目となる今年は「長寿社会に向けた介護予防」をテーマに開催します。11月中旬~12月中旬、藤沢市医師会のホームページにおいて公開を予定しています。興味のある方はぜひご視聴ください。
公益社団法人 藤沢市医師会
https://fujisawa-med.com/
湘南看護専門学校
https://www.shounankango.ac.jp/
※湘南ナース総合支援センター事務局は湘南看護専門学校内に所在
【Vol.1】
24時間365日、地域に根差した情報を届ける放送局
藤沢エフエム放送株式会社 代表取締役社長 山田秀幸さん
藤沢市役所の分庁舎にあるスタジオから、湘南についてのあらゆる情報と音楽を、バラエティに富んだラインアップで毎日届けている藤沢エフエム放送(愛称:レディオ湘南)。そんな地元密着の放送局の隠れた使命とは?藤沢生まれ、藤沢育ちの山田社長に伺った。
●災害時にきめ細かな情報を提供するために誕生
レディオ湘南が開局したのは1996年の4月です。1995年に起きた阪神・淡路大震災で、地域に災害情報を伝えるメディアとしてコミュニティFMが活躍したことから、藤沢市と青年会議所が中心となって準備委員会を立ち上げ、翌年、放送局ができました。
以来、藤沢市と連携しながら、いざという時に必要な情報を地域の皆さんにお届けできるよう、緊急放送の訓練や防災会議への出席など、常に体制を整えています。
災害時には防災行政無線の緊急情報をレディオ湘南の放送に割り込ませて放送。必要な情報をいち早く届けます。藤沢市だけでなく、茅ヶ崎市、寒川町とも防災協定を結んでいます。
インターネットが普及し、災害時にSNSで情報発信するケースも増えていますが、停電時でも安定して正確な情報を届けられるラジオ、その中でも地元密着のコミュニティFMの存在はまだまだ大きいと思います。
発電機を備えているので、停電になっても放送できますし、主なスタッフは局に歩いて来られる距離に住んでいます。また、スタジオに入れないことを想定して外から携帯電話1本で放送してみるなど、普段から対応策を考えています。地震に限らず、災害本部が市に立ち上がるくらいの大きな台風が近づいた時は、こちらも24時間体制で待機しています。
(藤沢駅北口地下通路に防災ラジオとしての役割をPRする看板が掲げられている)
コミュニティFMは電波が届くエリアが限られているので、スマートフォンからラジオが聞ける無料アプリを2018年にリリースしました。これまでに84,000ダウンロード(2023年8月現在)。番組の反響が全国から寄せられるようになったことは嬉しい驚きです。
また、藤沢市の協力で「防災ラジオ」という、電源が入っていれば防災無線の音声が流れる特別なラジオが有償で配布していただいています。
災害対策は普段から防災意識を高めてもらうことが最も大切。毎日「防災・防犯・交通安全インフォメーション」を流すほか、節目に防災特別番組を放送したり、県内のコミュニティFMやFMヨコハマ、神奈川新聞社でつくっている神奈川エフエムネットワークと共同で防災イベントを行ったりして、きっかけづくりをしています。
●全国区とローカル、どちらもあるのがレディオ湘南
防災情報のほか、地域密着の情報をお届けするということもコミュニティFMの大事な役割です。知り合いがラジオに出演する機会なんてなかなかないものですが、レディオ湘南ならそれがあり得るんです。
たとえば「ハミングふじさわ」という藤沢市の広報番組では、地元のサークルや農家の方、新しいお店、イベント主催者など、さまざまな人を取材して、生きた情報をお届けしています。
パーソナリティも個性豊か。歌手の麻倉未稀さん、元プリンセス プリンセスのドラマー・富田京子さん、TUBEの角野秀行さんなど、全国区の知名度があり、藤沢にゆかりのある方がそれぞれ番組を持っています。著名人だけでなく、藤沢の高校生がつくる番組もあるんですよ。
番組に力を入れているのも、普段からレディオ湘南を聞いていただければ、それが災害時にも役立つから。そんな状況はないほうがいいのですが、「レディオ湘南があって良かった」と思ってもらえるよう、スタッフ一同、使命感を持って番組づくりをしています。
(レディオ湘南Facebookより)
●番組づくりを支える地元愛
以前は箱根のホテルや都内の旅行代理店で働いたこともありましたが、どんなに遅くなっても藤沢に帰ってきていました。趣味がサーフィンということもありますが、藤沢の開放的でのんびりしたところがやっぱり落ち着くんですよね。
市内には鉄道が6線も通っていますし、利便性と自然環境の調和がとれた住みやすい街。だから人口が増えていて、ますます活気がある街になっていると感じます。
開局して30年近くになりますが、新しく越して来られた方も多いので、スタジオの外に積極的に出て行きPRしていかないと。イベントの企画や主催者に加わったり、市内中学生の職業体験や商店街のまちゼミで、DJブースを体験してもらったり、地元の方と直接ふれあう機会をつくっています。地域イベントの音響や司会をやらせていただくことも多く、地元プロバスケットボールチーム、湘南ユナイテッドBCのホームの試合の音響も2022シーズンから受託しています。
レディオ湘南のテーマは「LOVE湘南」。この素晴らしいエリアに住んでいる方々に、その魅力を再認識してもらえる番組をこれからもつくり続けていきたいです。
レディオ湘南(藤沢エフエム放送株式会社) FM83.1MHz
https://www.radioshonan.co.jp/index.html
公式アプリダウンロードはこちらから
https://fmplapla.com/radioshonan